応募者が生成AIで面接対策をする時代に、「整った回答」で差がつきにくくなった面接をどう設計するか

公開: 2026/08/24 / 更新: 2026/09/17 執筆: QRUU 編集部

生成AIの普及で、誰でも整った志望動機や想定問答を用意できるようになりました。準備してくること自体は応募者の努力ですが、受け答えが整っているかどうかだけでは、応募者どうしを比べにくくなりつつあります。そこで、回答の完成度で見る面接から、「いつ・誰と・何をして・何が変わったか」という行動の事実まで聞く面接に切り替えます。

何が変わったのか

応募者は昔から、想定問答を書き出したり、志望動機を練ったり、友人に模擬面接を頼んだりして、面接に備えてきました。

以前は、時間をかけて準備した応募者とそうでない応募者で、話のまとまり方に差が出ました。面接官は、その差を見て評価できました。いまは、生成AIに頼めば数分で整った文章が出てきます。

そのため、回答の完成度だけで判断する面接では、こうして用意した答えの評価が上がることがあります。

「整った回答」で見ていた面接は、何を見ていたのか

志望動機の説得力や自己PRの構成、想定質問への滑らかな受け答えを重視してきた面接には、準備の量や話をまとめる力も表れていました。職種によっては、この力が仕事でも求められます。

ただ、多くの求人では、その先のことも知りたいはずです。実際にどんな状況で、何を考え、どう動き、結果どうなったのかは、入社後にどう働くかを予測する材料になります。

回答の完成度で見る面接と、行動の事実で見る面接の違い
観点回答の完成度で見る面接行動の事実で見る面接
主に見ているもの話の筋道・構成・言葉の選び方実際に起きた出来事と、その中での本人の行動
質問の例「あなたの強みを教えてください」「その強みが実際に出た場面を、ひとつ教えてください」
事前に用意できるか用意できる(生成AIを使えば短時間で)話は用意できる(細部はその場で聞かれる)
深掘りしたとき深掘りを前提にしていないため、用意された答えで止まる具体例や理由を尋ね、具体性と一貫性を確かめる
面接官が受ける印象応募者どうしの差が見えにくいことがある答えの細かさの違いが見える

行動の事実は、どう聞くか

「いつ・誰と・何をして・何が変わったか」まで具体的に尋ねると、話の具体性と一貫性を確かめられます。

たとえば「チームをまとめた経験」という回答に対して、「そのとき何人のチームでしたか」「意見が割れたのはどの点でしたか」「ご自身は最初に誰に話しましたか」「結果として何が変わりましたか」と順に聞いていきます。

この聞き方は、応募者の経験を尋ねて、判断材料をそろえるためのものです。話が本当かどうかまで見抜けるとは言えません。

面接設計をどう変えるか

  • 質問を、経験を話してもらう形にする:「強みは何ですか」の代わりに、「その強みが出た場面をひとつ教えてください」と聞きます。全員に同じ質問をすれば、比べられる材料がそろいます
  • 深掘りの順番を決めておく:どんな状況で・何が課題で・自分は何をして・何が変わったか、の順に聞きます。順番を決めておくと、どの応募者にも同じ流れで進められます
  • 評価基準を行動で書く:「熱意がある」は、「課題に対して自分から動いた場面を具体的に説明できる」のように、記録から確認できる形に書き直します

どれも、専用のツールがなくても始められます。構造化面接でも、面接の前にこの3つを用意します。

書類選考にも同じ考え方が使えます。書類は経歴や実績の確認に使い、動機や人物像は、面接で行動の事実まで聞いて判断します。

生成AIの利用を判定する対策は勧めません

文章が生成AIで書かれたかどうかを判定するツールはありますが、その結果で合否を決めることには問題があります。

  • 判定は誤ることがある:人が書いた文章でも、AIが書いたと判定される場合があります。それをもとに合否を決めれば、AIを使っていない応募者を落とすことになります
  • そもそも禁止する根拠が弱い:生成AIで準備することも、努力の一部です。仕事でも使われる時代に、選考でだけ禁じる理由は説明しにくくなっています
  • 判定では経験が分からない:採用で知りたいのは、応募者が実際に何をしてきたかです。それは、判定とは別に、面接で尋ねます

なお、応募者が選考で生成AIを使ってよいかどうかを決めたら、前もって分かるよう、募集要項や案内に書きます。使ったかどうかを合否の判断に入れるなら、その理由が仕事に必要な適性や能力とどう関係するのかを説明できるようにしておきます。厚生労働省は、採用選考を応募者の適性と能力にもとづいて行うことを基本としています。

対話型のAI面接が向いている理由

行動の事実まで聞く面接を、全員に同じ流れで行おうとすると手間がかかります。1人あたりの面接時間が延び、面接官によって掘り下げの深さも変わります。

対話型のAI面接では、面接官の代わりにAIが、回答の内容に応じてその場で追加の質問を出せます。どこまで掘り下げるかの決め方は、AI面接ツールによって違います。録画型のように質問を読み上げるだけの方式では、この深掘りができません。方式の違いはAI面接とはで解説しています。

QRUUの場合、質問リストと1問ごとの深掘り回数を設定でき、質問は決めた順に聞きます。深掘りは設定した回数を上限に行い、回答が十分に具体的なら、上限より少ない回数で次の質問へ進みます。この上限は求人ごとに決めるので、面接官による違いは出ません。追加の質問では、直前の回答に出てきた固有名詞・数字・状況に踏み込みます。評価には根拠となった応募者の発言が引用つきで残るので、「なぜその評価なのか」を採用担当者があとから確認できます。合否の最終判断は人が行います。

よくある質問

応募者が生成AIで面接対策をするのは、禁止すべきですか?
禁止しなくてよいと考えます。生成AIは仕事でも使われていて、面接の準備に使うことだけを禁じる理由は説明しにくいからです。方針を伝えたい場合は募集要項に書いておき、面接では、準備した答えに続けて質問を重ねます。
AIが書いた文章かどうかを判定するツールを使うのはどうですか?
おすすめしません。判定ツールは、人が書いた文章もAIによるものと見なすことがあります。その結果を合否に使うと、AIを使っていない応募者を不合格にすることになります。また、判定の対象はAIを使ったかどうかなので、応募者が実際に何をしてきたかは分かりません。
書類選考はどう変えればよいですか?
書類は、志望動機の文章の出来よりも、経歴や実績が応募要件に合っているかの確認に使います。動機や人物像は、面接で、実際にどう行動したかまで聞いて判断します。
替え玉やディープフェイクによるなりすましは、見抜けますか?
面接の深掘りで確かめられるのは回答の具体性と一貫性までで、受けている人が本人かどうかは分かりません。替え玉やディープフェイクへの対策は、AI面接ツールによって違います(QRUUは本人確認を行っていません)。対策を掲げるツールでも、その機能が何をどこまで見るのかは、導入前に提供会社に聞いておきます。本人確認が必要な選考では、二次面接以降で人が確かめる前提で設計します。

参考にした一次情報

本記事は上記の公的な情報をもとに、採用担当者向けにかみくだいて解説しています。制度の詳細や最新の内容は、必ず出典元をご確認ください。 執筆方針は編集方針をご覧ください。